SLAらしく、学ぶときは真面目に学び、楽しむときは愉快に笑って過ごした韓国ソウルへの研修ツアー、参加者が分担して書いたレポートをお届けします。

☆  日 時:2012年5月28日(火)〜30日(木) 

☆  訪問先:ソウル 高齢者施設訪問と観光

☆  参加者:今泉治子・柴田芳則・杉浦玲子・畑島美奈子・

        藤田廣志・山崎賀津子

☆  企 画:研修部B

≪出発まで≫

 昨年10月のある日、研修PT初会合の席のこと、「どんなテーマで研修会をやっていこうか」「研修といえば海外研修じゃない?」「でもそれはこれまで幹事会でやっていたし…」等々のやり取りのなか、すんなり韓国への海外研修実施が決まり、時期も5月末頃にということになりました。

 とにかく大勢の人に参加をしてもらいたいと考え、12月に忘年会を兼ねた旅行研修会「食べて知る韓国」を企画しました。これは大盛況。30人近い皆様に集まっていただきました。研修PT一同ホッとしながらも、「是非成功させよう!」と固く誓いあったものでした。

 韓国観光省・名古屋韓国語学校などへの情報収取の末、正月明けのある日、研修PT韓国旅行参加者全員で旅行社を訪れ、SLAの紹介から始まり、この旅行に望む事柄を要求し、私たちの思いを伝えました。

 本格的なスタートへ向けてのダッシュです。

(畑島美奈子)

 

≪第1日 2012年5月28日(火)≫

 午前7時30分、セントレアに集合。参加予定の白井さんが、前日体調を崩して残念ながら不参加でしたが、テンションを上げつつ機上の人となりました。

 ハブ空港の仁川へ予定通り午前11時25分に着き入国手続きも順調に済み迎えのマイクロバスに乗り、韓国の首都ソウルへと向かいました。

 途中、韓国の食の文化で代表的な石焼ビビンバを食べました。味は上品で辛さも控えめ、キムチも日本のものと一味違いました。

 お腹も満足したところで、韓国の歴史と文化の街ソウルの京福宮、民族博物館、青瓦台へと車を走らせました。

 車が多いので聞くと、今日はお釈迦様の日で休日の三連休とか。

京福宮は1395年の創建、朝鮮王朝第一の法宮でいまも広い何処かで修復工事が行われているそうです。

 日本と同じ文化、歴史を大事にする国民性を感じ嬉しく思いました。

 民族資料館は韓国の生活様式、衣食住が細かく展示されていて興味深かく見学しました。

 しかし青瓦台には衛兵に阻まれ近づけず残念でした。

 5時にホテルにチェックインし、明日訪ねる二つの養老園見学のため、身を引き締め韓国の第一夜を過ごしました。 

 (山崎賀津子)

 

 

≪第2日 2012年5月29日(火)≫

 この日は、2か所の高齢者施設を訪問しました。残りの時間は、お土産の定番、BBクリームや海苔・高麗人参などのショッピングと足のマッサージにも行き、盛りだくさんの内容の1日を過ごしました。

 

ソウル市立養老園視察

 

 29日の午前中は、ソウル市域内に立地する5つの市立養老園の一つ、高徳養老園を視察しました。養老園は市から委託を受けたキリスト教(カトリック系)団体が運営しており、院長と施設責任者のシスターにご説明をいただいた後、シスターの案内で施設内を見学させていいただきました。

 

 韓国の合計特殊出生率(一人の女性が、一生に産む子どもの平均数)は1.15人で、日本の1.39人 より低く、OECD加盟国中最低。15歳以上の未婚率は39%(日本25%)、これはOECD加盟国中最高。2050年には高齢者(65歳以上)比率が42.3%という、国際的にも突出した“超高齢国家”となることが予測されており、少子高齢化のスピードは日本を上回っています。現在の韓国では「高齢者福祉のロールモデルは日本」と言っていますが、その立場が逆転する日も近いのではないかと思いました。

 この状況下で、子どももお金もないなど自立できない立場におかれた老人が、無料で入居でき、福祉センター、シニアアカデミー(高齢者の健康的な生活)、老―老プログラム(高齢者が高齢者を介護)、訪問相談・訪問介護などの機能を担う施設として、全国に64ヶ所の養老園が設置されています。

 資金面ではソウル市立など認可を受けている施設が、補助金+寄付金で運営されている一方で、非認可の施設は(カトリック系が多い)寄付金に頼っているケースが多いとのことでした。無料の施設には入居資格制限があり、有料の施設に入居するお金はないが、無料施設の入居条件には当てはまらないという、中間にあって受け入れ先のない高齢者が多くいるのが問題となっています。

 

 高徳養老園は125人の入居が可能で、現在115人入居中です。入居資格の制限もあり、“入居待ち”はないという状態です。しかし、開園から約20年が経過しており、入居者の高齢化(平均85歳・最高齢101歳)が進み、患者が増加、介護より看護業務の比率が高く、看護費用増大とケアの体力負担の増大に苦慮しているという現実があります。その為、本来の目的である福祉センターとしての目標が達成されないという辛さを抱えています。

 それでも、例えば「90歳から入居した方が、入居時の不安を乗り越え、楽しく生活ができるようになり、幸せに一生を終えることができる」ときなどには、やりがいを感じることができる仕事であり、その意味では“養老園の職員も入居者に支えられている”ということに気づきました。

 

 施設内の見学時には、多くの入居者の笑顔に出会うことができました。私は、これまで日本で個人的に愛知県・東京都など数カ所の老人介護施設を見学した経験がありますが、どの施設と比べても、今回訪問した施設の入居者の表情が一番明るく感じられました。

畑からサンチュを採ってきた女性、洗濯を終えた女性、紙細工の壺づくりに熱中している(元アル中の)男性、廊下で熱心に話をして下さった方、子どもが日本にいる女性(高齢者には日本語を話せる方もみえます)、皆の笑顔がとても素敵でした。

 部屋は2〜4人部屋でオンドルがついており、個人用のタンスと寝具入れがあります。リハビリ施設・医療施設・相談室なども整っています。施設は斜面に建設され、その斜面を活用して、入居者は身近で緑・花などの自然に触れることができ、癒されるという空間が多く、あたたかな感じを受けました。一方で、園内は坂が多く、建物内には階段が多くあります。築後の年数も経過しており、改修工事の所など、バリアフリーはまだまだこれからという状況でした。

 

 案内をしていただいた、シスターを始め職員の使命感・優しさと入居者の笑顔に触れ、システム・制度は大きな課題で重要であるものの、結局は“福祉は人が担うもの”、やはり最終的には“福祉・介護は人が支えている”という思いを強くしました。 

(藤田廣志)

 

鐘路老人総合福祉館視察

 

韓国の高齢者福祉を学ぶ

 ソウル市中心部に位置する、社会福祉法人大韓仏教曾渓宗財団が運営する、「鐘路老人総合福祉館」を訪問いたしました。文化、医療、ケアの老人福祉の総合拠点となっており、又、ソウル市内の各施設への中核的存在として活動しているということでした。職員の他、多くのボランティアが活動を支えているというのが特徴だそうでした。

 住民登録をしている60歳以上の区民が会員登録をします。因みに韓国の定年は55歳です。会員数 6350人、70代が一番多く、次に60、80代だそうで、順次高齢化が進んでいるそうです。

利用料は、国民基礎生活受給者には無料、昼食も無料、但し治療費その他パーマなどは、実費支払いがあります。韓国は食事を一緒にする家族主義の国です。昼食の提供には意義があり、一人暮らしの人への配食はボランティアが家庭訪問をしています。添乗員の金春姫さんは、大学生、高校生二人の息子を持ち、夫の両親と同居しているとのことでした。

 文化教室は50~60種のプログラムが用意されており、パソコン教室には、20人にそれぞれ機器が与えられ、授業を受けていました。公共スペースでは、一人の女性がパソコンに向かい、文書作成に余念のない姿が見受けられました。

 医務室では、毎月健康チェックが受けられ、健康指導、運動指導もされるとのことでした。リハビリの為のマッサージも行われているとのことでした。又、ウォーキングマシーン等、種々運動器具が揃ったジムもありました。

 娯楽室には二台のビリヤードがあり、男女混合の真剣勝負を観戦いたしました。

 全部は廻りきれなく、最後には8人編成のバンド演奏をしている部屋に到着しました。そこでドラムを叩いているのは84歳の好々爺、わたくしたちを大歓迎。初めて見る近代的な電子楽譜付の楽器に驚きました。「北国の春」のリクエストに応えて演奏してくださり、わがメンバーのエンターテナー柴田氏もご満悦、大合唱に意気投合。各々に握手を交わし、名残を惜しみお別れしました。

 韓国の人々との交流は、私世代にとっては、同胞意識の絆が蘇えり、感無量となりました。

(杉浦玲子) 

                               

 

 

 

 

≪第3日 2012年5月30日(水)≫

 朝から今にも降り出しそうな雲行きの、最終日が始まりました。

 でも、参加者一同は清々しい思いをしていました。昨日の施設訪問が、予想をはるかに超える成果に、心ウキウキ状態だったからです。

 最初の予定通りに「韓国民俗村」観光でした。広い敷地には南部・中部・北部地方の家々が建てられていました。添乗員さんの金さんが博識で熱心な人でしたので、村々&建物其々の特徴即ち、暑さ寒さ対策に加えて、風水を取り入れた家が理解できました。

 昼食後は世界遺産の「華城」を見学しました。都の東の門「華城」は蒼い旗(青龍のアオ)が旗めく少し小さめの美しい門でした。見学の途中で“藤田君〜”の若き?!声、当人もビックリ・シャックリ・コレッキリ。小・中一緒だった同級生に偶然に再会のハプニング付きでした。

 多くの成果を取得した「韓国シニアライフ視察」もフィナーレです。

 この感動が予見出来ていたら、もっと多くの仲間と一緒出来たのにと思うと、悔しくなり我々の努力不足を痛感しました。カムサハラニダ!  

(柴田芳則)

 

≪韓国研修ツアーを終えて≫

 近来の韓国はグローバル企業が躍進し、高い経済成長率を誇っています。積極的に各国と自由貿易協定を結ぶなど、その経済政策は日本の私たちに驚異に映ります。

 実際に見たソウルも、やはり元気があるという印象を受けました。車は国産車ばかり。世界中どこへ行っても見かける日本車もめったに目にしませんでした。トイレのウォシュレットやハンドドライヤーも、日本製ではなく、韓国製が席巻していました。

 高齢者福祉制度についても同じことを感じました。今回訪問したカトリック団体が運営する高齢者施設の院長は、「高齢者福祉は日本がお手本です」と穏やかなまなざしを向けられました。確かに、これまでの日本はアジア圏では圧倒的な「社会保障先進国」でした。しかしながら、韓国では、各種制度のスタートにあたり、日本の制度を手本にするだけにとどまらず、それをつぶさに研究し、「長所を採用し、短所を回避する」という「後発のメリット」を活かして、充実を図っています。そのことは、訪問した2つの施設が日本の同等のそれに比べ、勝るとも劣らなかったことからも、推し量ることができました。

 

 ともあれ、研修部が半年余りをかけて企画した今回のツアー、施設の選択も的を射ていましたし、観光も食事も正解でした。海外研修ツアーも4回を数え、協会の活動として、どのように育てて行くのか、課題はありますが、今後の提案や企画を楽しみにしています。

(今泉治子)

                   

 

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