全国一斉特設電話相談
シニアの悩み110番 実施報告

【中部シニアライフアドバイザー協会受付分】

 

開設要綱


・開催日時    平成28年9月24日(土)・25日(日)  10:00〜17:00

・会  場      (財)シニアルネサンス財団 事務局

・主  催     全国シニアライフアドバイザー協会 (全国5協会が参加) 

         中部シニアライフアドバイザー協会

・後援       名古屋市・中日新聞社

・相談員      シニアライフアドバイザー(述べ16人)

・運  営     中部シニアライフアドバイザー協会幹事会

相談者の内訳


相談件数(全国6協会合計298件 内、中部50件)

 



相談内容別件数


相談内容別検証

1位  家族・親族

 一口に家族問題といっても内容的には相談者それぞれに家族のありようや親族との関係も複雑であり、問題に至るまでの経緯が複雑に絡み合っていて解決の糸口を見出すのは難しいものが多いように思われます。 家族問題の中では特に親子関係についての相談件数が高く、「同じ敷地内に同居する長男夫婦と折り合いが悪く絶縁状態である」「夫が心筋梗塞で入院、現在は退院し、ヘルパーの介助で通院しているが、マンション隣に住む娘家族からこれ以上迷惑をかけるなと言われ絶縁状態になり、将来が不安なので高齢者施設に入りたいが経済的余裕がない」など、家族と同居・別居に関わらず、高齢者が精神的にも経済的にも先行きに不安を抱えていても、息子や娘に頼れないといった相談内容が多くありました。又、特徴的な相談としては、30代40代の子どもが(特に息子の場合が多い)定職につかず、いわゆる「引きこもり」的な生活をしていることへの心配と不安を訴える内容が目立つようになりました。

2位  健康・医療

 特に健康不安に関する相談が多くあります。

 「愛知県に居住し、東京の専門医にかかっているが、月に1度の受診なのでその間に体調が悪くなった時にはどうすればいいか不安でたまらない」「現在の治療方法に不満があるので病院を変わりたいが紹介状を書いてもらいたいと申し出てもよいものか」高齢になると個人差はあるものの、健康に対する不安は常に付きまといます。そのため、現在治療を受けていても安心することができず、心の病となっている相談者もあります。医療機関内に相談窓口が設置されてはいるものの、利用することができないのも高齢者です。

 又、「手術となった場合の保証人になってくれる人がいないので保証協会に聞いてみたら400万~500万必要と言われたた。そんな大金は出せないので役所に相談に行ったら冷たい対応だった」という相談もありました。

2位  生き方

 相談はライフプランと生きがい・ボランティアに分けて分類していますが、2つは同件数でした。

 「日々の生活に生きがいがない。何もすることがなく夫の昼食に間に合うように帰宅しなければならないので出かけるのも嫌」「週3回通うデイケアも最近トラブルに巻き込まれ週2回となりこういう状態で過ごしていることにこれでいいのか?という気持ちになってきた。同じ年齢の人の過ごし方を聞きたい」「友達もいないし、ゆううつ、生きがいがない。バカで何もできないと母親から言われ続けてきたので趣味もない」ここにも家族問題が見え隠れしています。

3位  終末期

 「一人暮らしで子供もいないので家財整理をしたいが公のところで処分してくれるところはないか」「72歳で働いている。働けない息子と二人暮らし。家、土地は有り、自分の終末の身元保証をしてくれる機関を探している」、「自分の死後一切を整理してから息子に知らせてほしい」など、積極的に納得いく終末期を迎えようとしていることがうかがえます。

 

暮らしの形態別検証

一人世帯

 年金の目減り、医療費支払い増加などの経済的な不安。健康への不安。高齢者の一人暮らしには不安材料が多くそれに対しての情報量が少ないことでますます不安が増大します。

 「施設などを利用するのにいくらかかりますか」「将来は名古屋市に戻りたいと考えているので介護施設の一覧表のようなものはどこで入手できるか」市の福祉課や社会福祉協議会などに行くことがハードルが高いと感じている高齢者もあり、情報伝達方法に工夫が必要ではないかと考えます。

 息子や娘との関係がこじれた末に一人暮らしになってしまった高齢者も多くあり、改善策は見つからないものの、話を聞いてもらえることで心のわだかまりが少し軽くなったと言われます。情報伝達のほかに気軽に悩みを話すことができる場所を作ることも大切だと改めて感じました。

夫婦世帯

 夫婦間での相談内容は多くはありませんが「体が不自由になった夫の介護で外出もままならず、活発に行動していたころと比べるとうつ気味になってきた」「夫が介護度5で施設に入っている。介護費用がなくなってきたので持っている不動産を売却したいが夫は手続きが無理な状況なので妻が後見人になれるか」連れ合いの健康が保たれなくなると、自分の行動や経済に影響し、「夫のなくなった後の年金がどれくらいになるか」と心配になってきた相談も複数ありました。

 子供世代とのコミュニケーション不足によるトラブルやそこから発生する不安もあり、ここでも家族関係のあり方が大きく作用しているようです。

家族同居

 家族同居といっても2世帯、3世帯の子ども夫婦や孫と同居との家族同居は少なく、独身の娘や息子との同居している高齢者からの相談が目立ちました。「一人娘が大学卒業就職はしたものの、すぐに退職し、家に引きこもっている。夫婦とも高齢になり、自分たちが倒れた時のことを思って困っている」「40代の息子は18年間仕事をしてきたがうつになり退職。治療をし、治ってはいるが仕事をしていない」

 いくつになっても親は子どものことが心配でならないという普遍的な思いというには片づけられない現象が高齢者を取り巻く環境にあり、社会的な問題として考えていく必要を感じました。

中部シニアライフアドバイザー協会としての社会提言


高齢者にも若者にも優しい社会の確立を

 高齢者と言えば、それなりに、経済的にゆとりがあり、元気で街に出かけたり、趣味やボランティア活動にいそしんでいるとそんな姿が想像されるかもしれません。確かにアクティブなシニアライフを過ごしている方も多数あります。けれども、高齢者を取り巻く情勢は楽観できるのもではありません。介護保険、国民健康保険料の引き上げ、年金受給額の引き下げなど、描いていた老後の生活の不安材料が募ります。

 そんな閉塞的なところから抜け出して何とかいきいきと生きていきたいと前向きに考えている高齢者の声に耳を傾けてほしいと思います。

 又、それに加えて、働けない息子、娘を抱えている高齢者もすくなくありません。

 一旦働き場所を離れてしまうと容易に仕事を見つけることができません。そのことで「うつ」になったり、又、「うつ」であるがゆえに働くことができなかったりしてなかなか解決の糸口を見つけることができません。

 そのような多くの実態を行政は把握していないのではないかさえと思われます。

 高齢者自身も、その息子や娘もなかなか表に出しづらい部分ではありますが何とか行政の力で解決に導いてほしいと思います。高齢者も若者もいきいきと生きていける社会を作ってほしいと今回の電話相談を実施してその思いを強くし、各機関に要望いたします。

 

【参考】

*シニアライフアドバイザー(SLA)とは

シニアライフアドバイザー(SLA)とは、人生90年の時代、定年退職後や子育て終了後に迎える シニアライフを健康でいきいきと生きがいをもって豊かに生きられるように、家族関係、生きがい、福祉、介護など、 中高年齢者の生活全般にわたって相談にのったり、アドバイスをしたりする専門家です。

シニアライフアドバイザーの資格は、(財)シニアルネサンス財団 1992年設立、内閣府主管 URL:http://www.sla.or.jp)の 「シニアライフアドバイザー養成講座」を修了し、その資格審査に合格後に授与されます。

全国には、2,600名のシニアライフアドバイザー(SLA)がいます。 (2010年10月現在)

 

*中部シニアライフアドバイザー協会とは

中部シニアライフアドバイザー協会とは、 シニアライフアドバイザー(SLA)の資格を持つもの が組織する団体で中部地方におけるSLA活動の推進をはかることを目的として1994年10月に設立されました。 SLAが組織する団体は、現在、東北・関東・中部・関西・中国・東中国・福岡の7協会があります。各協会が連携し、 社会に向けた活動として、年2回、全国一斉電話相談「シニアの悩み110番」を実施しています。

  中部シニアライフアドバイザー協会 URL:http://chubusla.web.fc2.com/index.html

全国シニアライフアドバイザー協会
中部シニアライフアドバイザー協会

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