全国一斉特設電話相談
シニアの悩み110番 実施報告

 

開設要綱


 

・開催日時     平成26年3月22日(土)・23日(日)  10:00〜17:00

・場  所     札幌・東京・名古屋・大阪・福山・広島・福岡  計7都市(仙台不参加)

・相談員     シニアライフアドバイザー

・主  催       全国シニアライフアドバイザー協会               

・後  援       (財)シニアルネサンス財団

相談者数・相談者の内訳


 

相談者数    537人                                     (資料‐1、2、3、5)

       

相談者数検証

              〜〜男性も女性と同様に悩みや苦労を共有する社会に〜〜  

 年々、男性の相談者が増える傾向にありますが、今回も、男性の相談者が34%近くありました。

 高度経済成長期を駆け抜けた企業戦士が大半で、家庭を顧みる余裕もなく仕事に専心し、社会もそれを容認しました。退職後、改めて家族と向き合おうとしたとき、考えていた以上に距離間があることに気がつき愕然としている姿がうかがえます。

 相談の順位では、男女ともに、1位「遺言・相続」2位「家族・親族」3位「健康・医療」と同じでした。そして、それらの相談内容のいずれもが多岐にわたっていることも、男女共通で、男女共同参画社会を背景にして、かつては、女性だけが背負っていた悩みや苦労を、男性もまた同様に背負うようになった状況が見受けられます。

 一方、男性の中には、旧来の男性社会を引きずったまま、地域社会に上手く順応できず、生きがいを見出せず引きこもったり、さまざまの地域のサービスを利用しないで暮らしている情報難民が少なくありません。

 また、女性については、妻や嫁として、いまだ当たり前のように介護を押しつけられ、疲れがピークに達し悲鳴をあげている人もいるのが現実です。

年齢区分別相談者数


    年齢別区分による順位                                 (資料‐1、2、3、5)

    

年齢区分別検証

 

*60歳代

 年金だけで今後の生活がやっていけるか不安、夫や子供が自立した生活をしていない、定年後、夫が生きがいをなくしている、40年連れ添った夫との離婚を考えているがその後の生活が不安、近所付き合いが上手くいかない、入院した場合に保証人になってくれる人がいない、借金を抱えているが、子供に迷惑をかけたくない等々、折角迎えた第二の人生を安らいで過ごすことの難しさを痛感しました。

 団塊世代の男性では相談する相手もなく孤立している様子をうかがえる一方で、なんとか前向きに生きようとしている相談者もありました。

*70歳代

 一人暮らし世帯も増え、体力的にも衰えを感じています。

 今は子供とも音信不通で、近所付き合いも苦手だが、先を思うとなんとか子供とよりを戻したい、今からでも助け合う仲間を見つけたいと現在の状況を打破したいと願う気持が強く前向きになっている人も見受けられます。

 一方では長期治療の家族を抱え、先行きの生活費の不安、加えて自分の健康への不安も抱え、悩みは年を重ねるごとに深刻さを増しています。

 自分自身の相続に関しても、具体的に考え始めるのもこの年代で、死後、家族間で相続が争族にならないように早めにしなくてはという思いを持ちながら、現実は最も切り出しにくいことでもあり、どのような準備をするか、思案しています

*80歳代

 相談内容順位は1位「遺言・相続」、2位「家族・親族」と、70歳代、60歳代と同じでしたが、3位が他の世代は「健康医療」でしたが、80歳代は「生き方」でした。 

 この年齢になると子供達も高齢となり、人間関係がスムーズにいっていないケースが増えています。同居でのトラブル、また子供との同居を頼んで断られた例等。 相続では一人暮らしで子供がいない人から誰に財産を継がせたらいいか悩んでいるという相談が多数ありました。

 あとはやはり「終活」です。今は介護支援を受けているが最後はどうなるかの回答がなく、何処へ相談したら良いかという問い合わせでした。 

 本人が認知症になっているのを認めたくなくて、医者や家族、ケアマネージャーから言われているのを取り消したいという相談も寄せられました。

 

相談内容 全体(上位5項目・537件中)


 

    相談内容順位                                       (資料‐1、2、3、4、5)

    

 

相談内容検証

 

1位 遺言相続      〜〜遺言相続の知識をしっかり学ぼう〜〜

今、家族関係が複雑になって来ています。 「離婚」「再婚」「養子」「別居中」「音信不通」等で単純に遺産分割しにくい状況だと推察します。

 相続は兄弟、子供、ましてや他人には相談しにくいので、とても悩ましい問題です。

 「既に死亡した義父名義の家に認知症の義母と住んでいる。相続人の夫は死亡している。義母が亡くなった時、自分には相続権はないのか」

 相談者は、周りの人から忠告されて不安になり、でも、どこへ聞いていいかわからず困っていたところに、無料で相談が受けられることを知り、電話をしたそうです。

 今回、このように相続について基本的なことがわかっていない、しかし、どこに相談していいかわからないという人が多くいました。

 また、法定に基づくのではなく自分が納得した人に相続させたいと考えている方が非常に多いです。例えば、妻だけにあげたい、面倒をみてくれている子供にあげたい等です。しかし実際はもめ事になることを恐れて、遺言書作成までに至っていない人が殆どでした。

 自分自身のためにも、相続人の為にも、しっかりとした知識を学ぶことの必要性を強く感じました。

2位 家族親族    〜〜親孝行どころか親を利用することばかり考えている〜〜

 大人の自覚が足りないのを棚に上げ、自分が不幸なのは親の所為だと思いこみ、親を攻める子供がおります。 ここ数年目立つのは親の年金を当てにしている子供が急増していることです。 親の年金を自分の通帳に移したり、面倒をみるから財産を全部よこせ、更に働くのを止めてしまった等の事例があります。 親もそれを容認し、無視できないところもあるのも事実ですが、親孝行どころか、何時までも親に頼りきっている子供に憤りを感じます。

3位 健康医療    〜〜長引く病への不安と経済的な悩み〜〜

   年齢的には70歳代後半から80歳以上の方の相談が多いです。今抱えている病の悪化に伴い、将来への不安は金銭的なこともあって大変深刻です。

友達もいない、親戚もいない、ひとりぼっちである。年金も少ない。高齢になるにしたがって、容赦なく不安が積もっていきます。

4位 住居      〜〜安心、納得の終の棲家を求めて〜〜

   介護が必要な兄を施設にいれたいが入所の当てがなく毎日が不安。建て替えのため引っ越すように言われているが保証人がいないため移れない。体力的に無理になって介護施設に入居したが、予定より経済的負担が増え、安いところを探すにも空きがなく困っている。 また最終的にはケアハウスや高齢者専門住宅に入居したいのでアドバイスが欲しい等、様々な相談が寄せられました。 安心、納得した終の棲家に出会うのも容易ではないと感じました。

5位 介護福祉    〜〜老老介護がますます深刻に〜〜

 90歳代の両親の介護に疲れ、自身も精神科に通院。 介護する側も毎日の生活が精一杯で何一つ楽しみがない。 終わりがない介護にほとほと困り果てている様子が良くわかります。

 介護施設職員の対応が悪いので自治体に相談したが取り合ってくれない、病院ごとに出される指示が違うので戸惑っている等、施設や病院への不満の相談も来ています。   

「暮らしの形態別」相談内容


    「夫婦世帯」、「一人世帯」、「家族同居世帯」の暮らし方で相談内容の相違を検証しました。

 

暮らしの形態別相談人数                               (資料‐2、8、9)

 

           

 

暮らしの形態検証

 

「一人世帯」

 「一人世帯」の相談は、将来を見据え、ある意味で覚悟を持った上で、遺産相続、成年後見制度、或いは、老人ホーム入居等、前向きで積極的な相談が多くありました。

 近年は、男性の一人暮らしが増えており、多岐にわたる将来への不安や悩みの相談が、女性同様に寄せられましたが、どちらかというと男性は、女性に比べて考え方に柔軟性が少なく、地域社会に順応できないでいる傾向があるようです。

「夫婦世帯」

   家庭内別居など夫婦関係の相談や、老老介護の重荷を訴える相談もありましたが、相談の多くは、どちらかが一人になってからの先々に関する悩みに集約されています。

相談内容の1位「遺産・相続」では、将来、配偶者(特に妻)だけに相続をさせたい、或いは、自分だけが相続をしたい。2位の「親子・親族」では、子供たちと疎遠になっている、先々が心配なので修復したいなど、今はいいが将来に不安を抱えつつ暮らしている高齢夫婦の姿が見られました。

「家族同居世帯」

   相談は多岐にわたっていますが、中でも、引きこもりの長期化した子供や障害者を持つ家庭からの相談は深刻です。 親の年齢も高くなり、子供の行く末が案じられます。生活費が年金のみの家庭も少なくありません。

 年齢の高いひきこもり等の本人やその家族を支援する場合に、生活保護や成年後見など、活用可能な公的制度や生活設計の方法について、広く自治体やメディアが広報すると同時に制度が気軽に利用できるようにして頂きたいと切に願います。

 

 



【今回の社会提言】


「終活」の一つとしての「遺言・相続」

〜確かな基礎知識と情報の発信の必要性を実感〜

 「終活」という言葉を耳にする機会が増え、人々はそれぞれ自分なりの人生の終末期について考えるようになりました。

 今回の全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」で受けた相談の3分の1強を占めた「遺言・相続」に関する相談でも、「終活」にかかわる内容が多く寄せられ、改めて、関心の深さを強く感じました。

〜資産の多少に関わらず自分の思いを反映させたい〜

 従来、「遺産・相続」関係の相談は、「相続が発生した後の揉め事」が中心でした。

 最近では、自分の死後、財産の多少にかかわらず、遺産分割には自分の意思を反映させたい、或いは遺族の間で揉めるのは本意ではないとの思いから、「特定な人に財産を多く残したい」「放置していた所有権移転登記を片付けておきたい」などの相談が増えており、元気なうちにきちんとしておきたいという考えが広がりつつあることがうかがえます。

 しかしながら、今回の電話相談を通して、そうした相談者の真摯な思いとはうらはらに、「遺言・相続」に関する基礎知識がないまま、中途半端な情報であれこれ思案している人たちが少なくないことも気づかされました。正しい知識と情報発信の不足を痛感し、改めてそれらの必要性を強く感じました。

 私たちシニアライフアドバイザーは、電話相談やセミナーをはじめ、さまざまな機会を通して、「終活」の努力をする人たちに寄り添い、アドバイスをしています。

「終活」への関心が増している今日、各自治体、メディアの皆さまにおかれましても、必要な知識と情報提供を発信して頂きたいと願っています。

 

【参考】    

*財団法人シニアルネサンス財団

   (財)シニア ルネサンス財団のホームページ http://www.sla.or.jp をご覧ください。

 

*シニアライフアドバイザー(SLA)

  (財)シニアルネサンス財団(1992年設立、内閣府主管)が中高年齢者総合生活相談員の養成事業におけるシニアライフアドバイザー養成講座を修了し、その資格審査に合格した者です。

 シニアライフアドバイザー(SLA)は人生90年時代、定年退職後・子育て終了後に迎えるシニアライフを健康で経済的困難がなく、かつ不安やトラブルもなく、生き甲斐をもって幸せに生きられるようにアドバイスしたり、シニアと共に問題解決を図ることをモットーとしてボランティア活動を行っています。

 全国には、2,600名のシニアライフアドバイザー(SLA)がいます。(2010年10月現在)。

 

*中部シニアライフアドバイザー協会

        中部地区在住のシニアライフアドバイザー(SLA)で構成している組織です。

        定年退職をしたり子育て終えた後に迎えるセカンドライフを、生き生きと生きがいを持って暮らすた

        めに、セミナーや講演会を開いたり、また、電話相談をはじめとする相談活動を開設して、同じセカ

        ンドライフを歩いているものの立場から、アドバイスをするという活動を、おもにボランティアで行って

        います。

        中部シニアライフアドバイザー協会 URL:http://chubusla.web.fc2.com/

 

*全国シニアライフアドバイザー協会

    全国8都市にあるシニアライフアドバイザー協会が、全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」開設などの活動を、連携をとって実施するために設立された組織です。 

 事務局を(財)シニアルネサンス財団内に置いています。

 全国8都市のシニアライフアドバイザー協会は次のとおりです。

      北海道シニアライフアドバイザー協会(札幌)

      東北シニアライフアドバイザー協会(仙台)

      NPO法人関東シニアライフアドバイザー協会(東京)

      中部シニアライフアドバイザー協会(名古屋)

      関西シニアライフアドバイザー協会(大阪)

      東中国シニアライフアドバイザー協会(福山)

      NPO法人中国シニアライフアドバイザー協会(広島)

      九州シニアライフアドバイザー協会(福岡)

 




【資料編】

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

全国シニアライフアドバイザー協会
中部シニアライフアドバイザー協会

  

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