暮らしの形態別相談人数 (資料‐2、8、9)
「一人世帯」
「一人世帯」の相談は、将来を見据え、ある意味で覚悟を持った上で、遺産相続、成年後見制度、或いは、老人ホーム入居等、前向きで積極的な相談が多くありました。
近年は、男性の一人暮らしが増えており、多岐にわたる将来への不安や悩みの相談が、女性同様に寄せられましたが、どちらかというと男性は、女性に比べて考え方に柔軟性が少なく、地域社会に順応できないでいる傾向があるようです。
「夫婦世帯」
家庭内別居など夫婦関係の相談や、老老介護の重荷を訴える相談もありましたが、相談の多くは、どちらかが一人になってからの先々に関する悩みに集約されています。
相談内容の1位「遺産・相続」では、将来、配偶者(特に妻)だけに相続をさせたい、或いは、自分だけが相続をしたい。2位の「親子・親族」では、子供たちと疎遠になっている、先々が心配なので修復したいなど、今はいいが将来に不安を抱えつつ暮らしている高齢夫婦の姿が見られました。
「家族同居世帯」
相談は多岐にわたっていますが、中でも、引きこもりの長期化した子供や障害者を持つ家庭からの相談は深刻です。 親の年齢も高くなり、子供の行く末が案じられます。生活費が年金のみの家庭も少なくありません。
年齢の高いひきこもり等の本人やその家族を支援する場合に、生活保護や成年後見など、活用可能な公的制度や生活設計の方法について、広く自治体やメディアが広報すると同時に制度が気軽に利用できるようにして頂きたいと切に願います。
【今回の社会提言】
「終活」の一つとしての「遺言・相続」
〜確かな基礎知識と情報の発信の必要性を実感〜
「終活」という言葉を耳にする機会が増え、人々はそれぞれ自分なりの人生の終末期について考えるようになりました。
今回の全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」で受けた相談の3分の1強を占めた「遺言・相続」に関する相談でも、「終活」にかかわる内容が多く寄せられ、改めて、関心の深さを強く感じました。
〜資産の多少に関わらず自分の思いを反映させたい〜
従来、「遺産・相続」関係の相談は、「相続が発生した後の揉め事」が中心でした。
最近では、自分の死後、財産の多少にかかわらず、遺産分割には自分の意思を反映させたい、或いは遺族の間で揉めるのは本意ではないとの思いから、「特定な人に財産を多く残したい」「放置していた所有権移転登記を片付けておきたい」などの相談が増えており、元気なうちにきちんとしておきたいという考えが広がりつつあることがうかがえます。
しかしながら、今回の電話相談を通して、そうした相談者の真摯な思いとはうらはらに、「遺言・相続」に関する基礎知識がないまま、中途半端な情報であれこれ思案している人たちが少なくないことも気づかされました。正しい知識と情報発信の不足を痛感し、改めてそれらの必要性を強く感じました。
私たちシニアライフアドバイザーは、電話相談やセミナーをはじめ、さまざまな機会を通して、「終活」の努力をする人たちに寄り添い、アドバイスをしています。
「終活」への関心が増している今日、各自治体、メディアの皆さまにおかれましても、必要な知識と情報提供を発信して頂きたいと願っています。
【参考】
*財団法人シニアルネサンス財団
(財)シニア ルネサンス財団のホームページ http://www.sla.or.jp をご覧ください。
*シニアライフアドバイザー(SLA)
(財)シニアルネサンス財団(1992年設立、内閣府主管)が中高年齢者総合生活相談員の養成事業におけるシニアライフアドバイザー養成講座を修了し、その資格審査に合格した者です。
シニアライフアドバイザー(SLA)は人生90年時代、定年退職後・子育て終了後に迎えるシニアライフを健康で経済的困難がなく、かつ不安やトラブルもなく、生き甲斐をもって幸せに生きられるようにアドバイスしたり、シニアと共に問題解決を図ることをモットーとしてボランティア活動を行っています。
全国には、2,600名のシニアライフアドバイザー(SLA)がいます。(2010年10月現在)。
*中部シニアライフアドバイザー協会
中部地区在住のシニアライフアドバイザー(SLA)で構成している組織です。
定年退職をしたり子育て終えた後に迎えるセカンドライフを、生き生きと生きがいを持って暮らすた
めに、セミナーや講演会を開いたり、また、電話相談をはじめとする相談活動を開設して、同じセカ
ンドライフを歩いているものの立場から、アドバイスをするという活動を、おもにボランティアで行って
います。
中部シニアライフアドバイザー協会 URL:http://chubusla.web.fc2.com/
*全国シニアライフアドバイザー協会
全国8都市にあるシニアライフアドバイザー協会が、全国一斉特設電話相談「シニアの悩み110番」開設などの活動を、連携をとって実施するために設立された組織です。
事務局を(財)シニアルネサンス財団内に置いています。
全国8都市のシニアライフアドバイザー協会は次のとおりです。
北海道シニアライフアドバイザー協会(札幌)
東北シニアライフアドバイザー協会(仙台)
NPO法人関東シニアライフアドバイザー協会(東京)
中部シニアライフアドバイザー協会(名古屋)
関西シニアライフアドバイザー協会(大阪)
東中国シニアライフアドバイザー協会(福山)
NPO法人中国シニアライフアドバイザー協会(広島)
九州シニアライフアドバイザー協会(福岡)